
上部消化管グループでは胃がんや食道がんの手術を担当しています。
以前より胃癌は最も死亡率の高い悪性疾患でしたが、近年は胃がん検診や消化管内視鏡検査の普及により早期発見ができるようになりました。胃癌の治療は病変の切除が第1選択であり、その治療方法としては手術と内視鏡的切除の2通りの方法があります。内視鏡的治療は、胃癌治療ガイドライン(第3版)では2cm以下の分化型で潰瘍を伴わない胃癌に対する治療(表1)とされており、当院では消化器内科が治療を担当しています。それ以外の胃癌に対しては手術が第1選択の治療法です。


胃癌に対する手術の方法は(1)開腹手術と(2)腹腔鏡下手術の2通りがあります(図1)。胃癌治療ガイドラインでは、腹腔鏡下手術は臨床研究としての治療として位置付けられていますが、この数年で急速に普及してきています日本内視鏡外科学会のアンケート調査では2009年度には胃癌の患者さんのほぼ3分の1の方が腹腔鏡での治療を受けています。(グラフ1)。今後は腹腔鏡での胃癌治療の割合がさらに増えてくると予想されています。

当院では毎年120人前後の胃癌の手術を行っています。ここ数年は腹腔鏡下手術の行う頻度が徐々に増えており、2011年は90%(121例のうち109例)の患者さんに傷の小さな腹腔鏡下手術をさせていただきました(グラフ2)。幽門側胃切除だけでなく胃全摘が必要なケースに対しても積極的に腹腔鏡下手術をおこなっています。

腹腔鏡下胃癌手術は腹部に5か所の小切開をおき(写真1左)、おなかのなかに二酸化炭素を注入しておなかを膨らませて手術を行います。それぞれの切開部位からカメラ(腹腔鏡)や手術器具をおなかの中に入れて、執刀医は腹腔内の様子をテレビ画面で観察しながら、患部の摘出を行います(写真1右)。大きなテレビ画面で腹腔内を拡大観察しながら手術を行うため開腹手術に比べるとより精密な手術を行うことができます。
しかしながら腹腔鏡下手術は従来の開腹手術にくらべて難易度が高く、手術の所要時間も長くかかります。また胃癌が他の臓器に浸潤している場合は腹腔鏡での手術ができない場合もあります。手術をさせていただく中には、その時点ですでに他臓器への遠隔転移(腹膜転移、肝臓転移など)がある場合もあります。この場合は、抗癌剤治療が第1選択となります。患者さんそれぞれの病態に合わせて最善の治療を行っていくように努めています。
(文責:難波江俊永)
