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近年、乳癌は日本人女性の罹患する癌の第一位となりました。当院の乳腺外科でも乳癌の手術件数が増加の傾向にあり、昨年(2010年)は144例の乳癌手術を行いました。
乳癌の治療には外科的な手術療法が不可欠ですが、非常に微細な構造である乳管から発生することが多い乳癌は、発見されたときには既に周囲のリンパ管や細い血管に癌細胞が接触・浸潤していることがほとんどです。したがって、乳癌の治療は全身の治療として戦略的に行わないと、再発や転移の可能性を増してしまう恐れがあります。
当科でも乳癌診療ガイドラインはもとより、国内外の論文や学会で発表される最新のデータを参考に、患者さん一人ひとりに合った治療法を選択するよう努力をしています。診療は乳癌学会専門医1名、認定医2名を中心としてチーム医療で行い、毎週のカンファレンスで受診され治療を受けて頂く患者さんの治療方針について医師・放射線技師・超音波技師・病理部門・化学療法室・癌看護専門看護師・病棟看護師が参加し検討を繰り返しています。

昨年、当科で施行された乳腺疾患手術の内訳です。乳癌144例のうち58例に乳房温存術(部分切除術)が施行されています。乳房再建は乳房の形成を専門とする県内の開業の先生と連携しつつ、患者さんのご希望に添えるよう努力をしています。
温存手術の適応については、乳房切除術と同等の治療効果が得られると判断された症例に対し、ご希望があれば施行しています。
原則として、乳房温存手術の割合を増やす事のみを目的とした手術前の抗癌剤治療は行っていません。
ホルモン受容体陽性の乳癌に対し効果の期待できる、比較的副作用の少ない治療法です。ホルモン受容体陽性の乳癌の患者さんには、手術後に再発予防の補助治療として原則としてホルモン療法を受けて頂いております。
また、ご高齢で手術のリスクが高いと判断される方や、手術を回避したいとお考えの方に対してはホルモン療法による治療から開始し、経過を見ていくことも一つの選択肢としてご相談することがあります。
最近、ホルモン療法を手術に先行して行うことの効果について検討がなされ、その効果幾つか発表されています。一定の条件に該当する患者さんには、今後術前ホルモン療法の選択肢も取り入れていくことが考えられます。
再発・転移の見つかった患者さんにも、条件によりホルモン療法は第一に考えてみる治療法となります。
乳房温存術後には原則として残った乳腺に放射線を照射しています。手術時に多くのリンパ節への転移が認められた場合にも術後放射線治療を要する場合があります。また、リンパ節や皮膚の再発・進行した症例や骨への転移で痛みを生じた際にも有効な治療法となります。
癌の根治が難しいと判断される患者さんの、疼痛や癌に伴ういろいろな症状に対して、緩和ケアチームが主治医とともに活動をしています。
セカンドオピニオン紹介には、乳腺外来または乳腺外科チームの医師の外来で対応しています。また、当院からセカンドオピニオン希望で他院を受診される際には、当院での全ての検査結果・経過を開示させて頂きます。(文責:梅田修洋・村上聡一郎)
医師の外来スケジュールは、外科外来担当医のページをご覧ください。
乳腺外科のスタッフの紹介は、外科のページをご覧ください。