循環器内科

循環器科の紹介

 九州病院での循環器診療は1955年に始まり、1966年に九州地区で最初の心臓カテーテル室が稼働して以来、常に患者さんのためになる最善の心血管病診療を追及してきました。ほぼすべての心臓・血管疾患 (虚血性心疾患、心不全、不整脈、弁膜症、心筋疾患、心膜疾患、大動脈瘤や大動脈解離、四肢/腎動脈/頚動脈などの閉塞性動脈硬化症、深部静脈血栓症、肺塞栓症など)の診療を24時間態勢で行なっており、診断治療からリハビリテーションまで一貫して対応しています。

  当院には心臓カテーテル検査室が2室有り、循環器緊急疾患に常時対応できる体制をとっています。増加する救急入院患者に対応するため、平成26年度からは一般血管造影室でも冠動脈検査や治療が出来るように装置機器を整備しました。循環器科の年間の入院患者数は約1,400名で、そのうち緊急入院の割合は約50%です。急性冠症候群、心不全、不整脈が入院の三大疾患です。

  冠動脈形成術はもちろんのこと不整脈に対する心筋アブレーション治療、腎動脈/末梢動脈形成術、両室ペーシングなどほとんど全てのインターベンション治療を行なっています。また大動脈ステントグラフト内挿術や心房中隔欠損閉鎖術も、それぞれ心臓血管外科、小児循環器科と協力して行なっています。

  当院には心臓血管外科が併設されています。開心術は年間約300例施行されており、待機的手術はもちろんのこと、内科治療が困難な重症多枝病変による心筋梗塞、急性大動脈解離などの緊急手術も常時可能な態勢をとっています。ハートチームとして、循環器科と心臓外科が一緒になって、症例ごとに治療方針を話し合います。内科と外科のチームワークが良いのが当院の伝統です。

  循環器疾患の治療は急性期のみならず、慢性期の管理指導が大変重要です。当院では日本で最も早く、30年以上前から心臓リハビリを治療に取り入れた病院のひとつです。本邦でも有数の心臓リハビリ施設とスタッフをそろえており、虚血性心疾患、心不全、心臓血管外科術後の患者さんの運動療法、教育を積極的に行なっています。毎年、九州のみならず全国の医療施設から多くの見学者や研修者が見学や研修に訪れます。

  

対応可能な治療や検査

循環器救急疾患

 不安定狭心症や急性心筋梗塞の患者さんは年間約200名、心不全入院患者さんは年間300名以上で、ほとんどのかたが緊急での入院です。大動脈解離も心臓外科と協力して診療にあたっています。

冠動脈および末梢動静脈の血管形成術

 労作性狭心症に対するバルーン/ステント/ロータブレーターを用いた冠動脈形成術には従来から力を入れています。また腎動脈狭窄症や下肢閉塞性動脈硬化症に対するバルーンやステントを用いた治療は適応を厳密に判断した上で実施しています。そのほか下肢深部静脈血栓症や肺癌などによる上大静脈症候群に対するカテーテル治療は、患者さんの症状をとるのに大きな効果をあげています。

不整脈疾患

 九州地区で最も早くWPW症候群、上室性頻拍症、心房粗動などの頻脈性不整脈に対するアブレーション治療を開始しました。これまで治療困難であった非通常型心房粗動や心房細動、心室頻拍へのアブレーションは、適応をきちんと評価した上で施行しています。種々の不整脈に対する植え込みデバイス (ペースメーカ、植え込み型除細動器、植え込み型ループレコーダ) を用いた診断治療も積極的に行なっており、デバイス専門外来 (ペースメーカ外来) を開設しています。MRI対応型機器や遠隔モニタリング機能付き機器など、近年多様化しつつあるデバイスに臨床工学技士が参加したチームで対応しています。

心不全

 治療ガイドラインに基づいた薬物療法は言うまでもありませんが、心臓リハビリテーション、在宅酸素療法、無呼吸合併症例に対するCPAP(持続陽圧呼吸)、CRT(両室ペーシング)などの非薬物治療も日常診療として行なっています。

心臓リハビリテーション

 上に述べたように、日本で最も早く急性心筋梗塞回復期の心臓リハビリテーション(心リハ)を治療に取り入れた病院のひとつです。循環器科医師、理学療法士、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士などが心リハチームとして、運動療法のみならず、薬剤指導、栄養管理、心理サポート、講義を通じて多面的に患者さんとご家族にアプローチしています。九州地区で唯一の日本心臓リハビリテーション学会認定研修施設であり、学会認定心リハ指導士も20名以上います。

心臓リハビリテーションの詳細情報は、心臓リハビリテーションチームのページをご覧ください。

腹部大動脈瘤

 これまでは外科的手術しか治療法がなかった腹部大動脈瘤ですが、一部の症例ではステントグラフトを用いた非開腹低侵襲治療が重要な選択肢となってきました。当院でも適応症例に対して、心臓血管外科を中心にして共同でステントグラフト治療適応の検討、植え込み術を行なっています。

成人先天性心疾患

 心房中隔欠損症(ASD)に対する心房中隔欠損閉鎖栓(ASO)を用いたカテーテル治療を小児循環器科と協力して施行しています。

2013年の診療実績

外来

 外来は毎日3~4名の循環器内科医が診療にあたっています。新患は医療連携室を通しての予約制です。急患については総合受付(093-641-5111)に電話をいただければ、循環器科の急患担当医に直接つながります(平日時間内)。夜間、土日祝祭日については救急外来が対応し専門医に連絡いたします。

入院

 循環器内科の入院患者数は1,415名で過去最高で、うち急患入院は679名(全入院の48%)でした。退院時主病名は、虚血性心疾患、心不全/弁膜症、不整脈/失神の順に多く、これらの三大疾患が患者全体の約8割を占めています。とくに入院加療が必要な心不全患者さんの増加が最近顕著です。(図1、図2)

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虚血性心疾患

 急性心筋梗塞と不安定狭心症は急性冠症候群(ACS)と総称され、循環器の救急疾患の中でももっとも緊急度が高いもののひとつです。2013年には203名の入院がありました。そのうち198名 (98%) のかたが冠動脈造影検査を受けられ、うち156例がカテーテルインターベンション (PCI) で治療されています(成功率96%)。全ACS症例のうち18名 (8.9%) は重症冠動脈病変のため、外科的冠バイパス手術を施行されました。院内に心臓外科チームが待機している当院だからこそ、これらの重症疾患に対しても遅滞なく治療をおこなうことが出来ます。
虚血性心疾患に対するカテーテルインターベンションは適応を厳格に決めて行なっていますが、その施行数は年々増加しています。(図3)
 
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心不全

 1年間に340名の心不全患者さんの入院がありました (前年に比べて27名の増加)。患者さんの年齢の中央値は79歳で、85歳以上のかたが全体の4分の1を占めます。自宅へ退院された方は全心不全入院患者さんの76%で、転院が13%でした。亡くなられた方は心臓死、非心臓死あわせて18名で、総死亡率は5.3%でした。
このように社会の高齢化とともに、心不全患者さんの入院は着実に増加しています。患者さんは他疾患に比較して高齢で、自宅へ戻れるかたの割合が少なく、また死亡率も低くありません。今後の心不全診療のありかたについての検討は喫緊の課題です。

 

抹消血管疾患

 下肢動脈、腎動脈、鎖骨下動脈を含む末梢血管のカテーテル治療も年々増加し、昨年は過去最高の治療数でした(図4)。特に末梢血管を診療する機会が増えていますが、その理由として「poly-vascular disease (冠動脈、下肢動脈、脳血管を含む複数の血管にアテローム血栓症を合併する病態) 」の認識が広がっていることが挙げられます。連携医院から末梢血管疾患をお持ちの多くの患者さんをご紹介いただいていますが、重症の冠動脈疾患や大動脈疾患を稀ならず合併しています。

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不整脈・失神

 不整脈や失神を主訴として235名の入院がありました。多くの方がアブレーション、ペースメーカー植え込みなどの処置を受けられています。(表1、図5)

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心臓リハビリテーション 

 長い伝統を持つ心臓リハビリテーションは当院における診療の大きな柱のひとつで、とくに心不全患者さんの非薬物療法の中心となるものです。理学療法士や看護師など心リハチームの努力のおかげで、実施件数だけでなく、その質も年々向上しています。(図6)

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循環器科の後期研修を希望される皆さんへ

当院循環器科の後期研修のご案内は、循環器内科後期研修プログラムのページをご覧ください。

循環器科業績(2009~2011)

当院循環器科の2010年以降の業績は、循環器内科業績(2010年以降)のページをご覧ください。 

循環器科のトピックス

当院循環器科最近のトピックスです。以下の項目をクリックしてご覧ください。

  院外心肺停止患者さんの治療 - 神経学的予後改善のための低体温療法 - (2012年9月)

  SVC症候群のステント治療(2012年5月)

  大動脈弁狭窄症とイノウエバルーンによる大動脈弁拡張術(2012年4月)

  不整脈に対するアブレーション治療の現状(2012年2月)
 
  血管インターベンション(2012年1月)  

  抗血栓薬を服用されている患者さんの診療について(2011年5月)

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