院長 多治見 司
当院は厚生年金加入者への早期利益還元を目的として1955年に創設された病院です。当時の八幡市(現北九州市八幡区)の誘致活動により、この黒崎の地に設立され、56年間、公設民営(財団法人厚生年金事業振興団が受託運営)の病院として運営されてきました。8年前の移転を挟んでのこの10年間は、出来るだけ多くの急性期疾患に積極的に対応できる、いわゆる高度急性期病院を目指して、診療の質・効率を上げるべく頑張ってきました。しかしながら、同時にこの期間は政治に翻弄され、厚生年金保険の補填の目的で売却の対象になるなど、非常に不安定な状態での運営を強いられて来ました。ようやく平成23年6月に、議員立法による法案が成立し、3年以内に、「地域医療機能推進機構」という新たな独立行政法人の下で、引き続き公的病院として運営されるということに落ち着きました。様々な困難も予想されますが、いずれにせよ、これまでの極めて不安定な状況はなくなり、長い間地域の方々にご心配をおかけしていた問題はひとまず解消されたという次第です。我々としては今まで通り、地域に根ざし、地域の要望に応え、「大切な人を安心して任せられる病院」であり続けるために努力したいと思っています。
さて、今回うれしいご報告があります。それは、当院の新棟、駐車場棟の増築の認可が下りたということです。当院の現建物は、長期に亙り地域の医療需要に対応できる施設として10年以上前に計画されていたわけですが、8年前の移転以来、医療界、特に地域医療の変貌で、受診者数、検査・手術例数の増、患者さんの重症度が全体に増すなど、想定以上の事態が次々に進行し、診療中枢部門の狭隘化、不足が大変深刻となっていました。様々な合理化策を講じましたが、需要に追随できていません。また、移転後に職員数がおよそ400人近く増え、院内のあらゆる空間を更衣室にしても大幅に不足している状態です。これまで何度か増築をお願いしてきたのですが、不安定な状況が続いていた為か、取り上げていただけませんでした。しかし今回漸く事情を理解していただき、増改築が認められたのです。
計画では西側駐車場に地下1階地上4階の新棟を建て、放射線治療設備、リハビリ、健診センター、カルテ庫、事務部門、講堂、教育施設などを移設し、その後、空いた本館スペースを診療中枢部門(手術室、ICU、NICU、救急室、放射線検査部、内視鏡部門など)の移設、拡張に充てる予定です。また、これまで大変ご不自由をおかけしていた駐車場も多層階にし、大幅な駐車台数増を図るとともに西側道路からの入場を可能にし、混雑を軽減したいと思っています。工事は2012年早春に開始し、本館改修を含め、全てを2年程度で完成させる予定です。工事期間中も現在の診療機能を落とすことは極力避ける計画ですが、それでも何かとご迷惑をおかけする事になると思います。ぜひ病院の2年後の機能強化にご期待いただき、暫くの御不自由をご容赦ください。
診療面では、このHP上の臨床指標(CI)に載せているように順調な実績を上げています。当然ですが、診療は多忙を極めており、様々な問題があることは否定できません。皆様には御不満を感じさせているかもしれませんが、今後も我々の持てる医療資源をより質の高いものにし、かつより多くの方に平等に提供してゆきたいと思いますので、どうかご理解とご協力をお願い申し上げます。